歯の病気

口腔ケアと脳卒中

おはようございます!
酒田市の歯医者、沢田歯科医院の沢田です。

前回、脳卒中のお話を途中までしましたので、今回はその続きからお話しします。

脳卒中を防ぐには「動脈硬化の予防」が重要です。
予備軍となる危険因子の治療はもちろん、生活習慣の改善がポイントになります。
「塩分を控え、バランスの良い食事をとること」
「適度な運動習慣をもつこと」などです。
また、血栓予防のためにこまめに水分補給をするようにしましょう。
水分補給を我慢しすぎると脳梗塞のリスクになります。
就寝前、起床時、お風呂上りなどに「コップ1杯の水」がおすすめです。
いわゆる脳卒中家系の人も、食生活を見直すことで予防は可能です。
ただし、脳動脈瘤には遺伝性があります。
親や祖父母、兄姉妹にくも膜下出血を起こした人がいる場合は、一度検査をうけておくとよいでしょう。

季節と脳卒中
熱くなると熱中症、寒くなるとインフルエンザ・・・というように、気症の変化に関係があると考えられる病床の総称を「気象病」といいます。
実は脳卒中も気象病と無関係ではありません。
暑い夏は体から水分が失われ血液がドロドロになって血栓ができやすく(脳梗塞)、寒い冬は血圧の上昇で血管が切れやすくなる(脳出血)からです。
心房細動が原因の脳梗塞もやはり冬場に多い傾向があります。
また、晩春などの季節の変わり目には脳梗塞やくも膜下出血が、1日の温度差が10℃以上あるときには脳梗塞が起こりやすいことも知られています。
深部体温を一定に保つ必要がある私たちは、気温差が激しいと体への負担が大。
毎日の気象情報にも体調管理のヒントが隠されているのです。

性別・年齢と脳卒中
脳卒中は動脈硬化が進行した中高年に発症しやすく、脳出血は男性に、脳梗塞やくも膜下出血は女性に多くみられます。
特にくも膜下出血では女性は男性の約2倍。
くも膜下出血は発症すると、およそ半数は死亡してしまい、社会復帰できるのは約1/3くらいと、かなり重篤な状態になる怖い疾患です。
脳出血が男性に多いのは、一般に活動的で無理をしやすい傾向があり、血圧が上がりやすいことが考えられます。
喫煙、多量多飲する人が多いのも一因でしょう。
また、男性は重症化することが多く、脳梗塞の死亡率も男性のほうが高くなります。
一方、くも膜下出血が女性に多いのは、動脈瘤の形成に女性ホルモンの関与が考えられるからです。
女性の社会進出で社会的なストレスが増えている影響もあるのかもしれません。

口腔ケアと脳卒中
歯周病は血液疾患、呼吸器疾患のほか全身に様々な影響を及ぼし、脳卒中との関連も注目されています。
問題になるのは歯周病原因菌。
歯周病やう蝕を放置することで、歯肉からの傷が血管内に入り、心臓の弁に菌が付着すると感染性心内膜炎という病気になるだけでなく、その菌が血液を介して脳に流入して、細菌性の脳動脈あ瘤をつくることがあります。
厄介なことにこの細菌性脳動脈瘤は、脳の細い血管にできやすく、脆く破裂(くも膜下出血)しやすいのです。
歯周病は首の動脈(頸動脈)の動脈硬化を引き起こす可能性も指摘されています。
さらに脳卒中を発症後には、麻痺や筋力の低下で歯磨きが難しくなることも多くなります。
歯科通院による歯周病対策は、脳卒中の予防・再発を防止するうえでとても重要な意味をもつのです。

お時間があればぜひ口腔ケアで脳卒中を予防しましょう。

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