その他

新型コロナウイルスと歯周病

おはようございます!
沢田歯科医院の沢田です。

前のブログから期間があいてしまいました。

本日は新型コロナウイルスと歯周病についてお話しします。

下記のような記事を見つけました。

新型コロナウイルス感染症で死亡した人から歯周病菌が大量に見つかったという英国発の研究報告が、医療関係者の間で話題になっている。感染予防策では「ワクチン、マスク、手洗い」に加え、「口腔ケア」を取り入れる必要がありそうだ。

 新型コロナウイルス感染症が初めて報告されてから、まもなく1年になります。
今、話題になっているのが7月に英国の医学雑誌にオンラインで公開されたリポートだ。リポートのタイトルは(COVID-19での口腔内細菌の役割)。英国リーズ大学歯学部などの研究チームの報告です。

 新型コロナウイルス感染症の死亡や重症化リスクを高める要因として、これまで言われていた心臓病、高血圧、糖尿病などだけではなく、口腔内細菌(歯周病菌など)も関係しているということです。

 研究チームが新型コロナウイルス感染症で死亡した人を調べると、歯周病菌が大量に見つかりました。口腔内の衛生状態が悪い、つまり口の中が汚れていて歯周病などがある人は、感染した場合に重症化リスクが高まる可能性があることがわかりました

歯周病がインフルエンザの感染リスクを高めることは以前から知られていたが、このリポートによると、新型コロナウイルスでも同じことが言えるそうです。
 歯周病研究の第一人者で日本歯周病学会元理事長の伊藤公一・日本大学名誉教授によれば、「歯周病がウイルスや細菌の感染リスクを高めることは、歯周病研究者や臨床医にとって、”常識”と言えます。多くの論文もあり、古くは100年前のスペイン風邪(インフルエンザ)でも、むし歯や歯周病のある患者はインフルエンザに感染しやすいという報告があるくらいです」。

では、なぜ歯周病がウイルスや細菌の感染を助長するのでしょうか。

伊藤名誉教授によると、主な原因は歯周病菌が出す毒素や酵素、さらに歯周病による歯ぐきの炎症が関係しているといいます。
 「歯周病菌はプロテアーゼという酵素を出しますが、これが粘膜を傷つけてウイルスを侵入しやすくしています。また、歯周病で歯ぐきに慢性的な炎症が起きていると炎症物質(IL-6)が産生され、ウイルスによる感染を促進するのです」(伊藤名誉教授)

 子どもが新型コロナウイルスに感染しにくく軽症や無症状ですむのも、子どもには歯周病がほとんどないことが理由のひとつだといいます。

 日本では、歯周病は20歳代で約7割、30?50歳代は約8割、60歳代は約9割がかかっているとされる「国民病」です。

世界で最も多い感染症としてギネスブックにも登録されているほどで、世界中で流行を繰り返すインフルエンザ患者数よりも多いとされています。

 新型コロナもインフルエンザも歯周病が原因で感染しやすく重症化しやすいなら、口の中を清潔にして歯周病治療や予防をすれば、インフルエンザや新型コロナ感染症予防にもなると考えられそうです。

歯周病が口の中だけの病気ではなく、心臓病、糖尿病、肺炎、認知症、早産、がん、肝炎などの病気のリスクを高めたり悪化させたりすることは、1990年代から知られていました。
 特に心臓病が多い米国では歯周病と心臓病の関係を示す研究も多く、1998年、米国歯周病学会ではいち早く歯周病が循環器系疾患や糖尿病、低体重児出産の大きな危険因子になっていることを発表し、当時大きな反響を呼びました。

 高齢者に多い誤嚥性肺炎が歯周病や口腔内細菌と関係があること、さらに歯科衛生士による口腔ケアで口の中を清潔にするだけで予防できることも、この頃から次第に明らかにされてきています。

誤嚥性肺炎は食物や唾液などを気管から肺に誤って吸い込んでしまい発症する。睡眠中に唾液の誤嚥で起こることが多く、唾液に含まれる細菌やウイルスなどが肺に入って炎症を起こします。
 口腔ケアが不十分で口の中が汚れていると、肺炎を何度も繰り返すことになり、この肺炎で亡くなるのはほとんどが高齢者です。

 災害時の避難所で高齢者が誤嚥性肺炎を起こしやすいのもよく知られています。

被災地では歯みがきが十分できないこともあり口の中の状態が悪化するからだと考えられています。

 誤嚥性肺炎を減らす手段として効果的なのが口腔ケアだ。専門的な口腔ケアで誤嚥性肺炎やインフルエンザの罹患が激減する例が数多く報告されています。

中でも有名なのが、21年前の1999年に「ランセット」誌に発表された米山武義・米山歯科クリニック院長と東北大学医学部の佐々木秀忠教授(当時)らの研究です。
 全国11カ所の高齢者施設で2年間にわたり行われたもので、口腔ケアが高齢者の誤嚥性肺炎を減らす効果があることが実証されました。

この場合の口腔ケアは歯科衛生士による専門的な口腔ケアのことです。

専用の器具などを使って口の中を徹底的にきれいにしています。

 このプロの口腔ケアを行うと高齢者の誤嚥性肺炎が40%減少し、さらに発症しても軽症ですみ、死亡者数も減少、認知症の進行まで抑えられたといいます。

 他にも国内で同様の臨床研究がたくさんあり、たとえば、正しいブラッシングや舌磨きを行うと、インフルエンザ発症率が10分の1に減った例や、歯科衛生士が週1回、口腔ケアや歯のクリーニングを実施したところ、インフルエンザの発症率が87%も減少し、風邪の発症率も24%減少した例などが挙げられます。

もう一つ、感染症予防で忘れてはいけないのが、唾液の効用です。
唾液には天然の抗生物質といわれるラクトフェリンや免疫物質IgA抗体など細菌やウイルスの侵入を防ぐ物質が含まれ、傷ついた粘膜を修復する働きがあります。

また、発がん物質の毒性を消す酵素の存在も確認されています。

 唾液が減少すると口腔内細菌が繁殖しやすく、口の中の粘膜も傷つきやすくなります。

そうなるとインフルエンザや新型コロナウイルスが侵入しやすい環境になってしまいます。

 つまり、唾液が減少して口の中が乾くドライマウスの人は、インフルエンザや新型コロナウイルスに感染しやすいといえます。

 唾液量は年齢を重ねるとともに減少していき、ストレスや生活習慣病、自己免疫疾患(シェーグレン症候群)、薬の副作用なども原因になります。

唾液の分泌を促すには、唾液腺のマッサージや口腔ケアも効果があります。

また、口腔ケアで舌の汚れを落とせば、新型コロナウイルスの感染予防になるということもわかってきました。
 新型コロナウイルスは細胞表面のタンパク質ACE受容体にくっついて細胞に侵入する。このACE受容体は口腔粘膜にも存在しているが、特に舌の表面に多いといいます

 唾液の研究で知られる槻木恵一・神奈川歯科大学副学長は「歯と口の健康シンポジウム2020」(日本歯科医師会主催)で、舌に付く細菌の塊である舌苔(ぜったい)には新型コロナウイルスが感染しやすくなる酵素が大量に存在すると話しています。

 口の中が汚れていて舌苔が多い人は新型コロナウイルスに感染しやすいということになり、逆に、口腔ケアで舌を磨いて舌苔を落とせばこれもまた感染予防につながるわけです。

 新型コロナ感染症やインフルエンザ予防の基本は「ワクチン、マスク、手洗い」とされているが、ここに口腔ケアを加えると効果はより高まると考えられます。

まずは手軽にできる予防から始めてみてはいかがでしょうか。

関連記事

  1. 滅菌

    滅菌とは

  2. 研修会

    講習会に行ってきました

  3. か強診

    「かかりつけ歯科機能強化型診療所(か強診)」に認定されました

  4. 口腔ケアと認知症

  5. 歯周病と関節リウマチ2

  6. 歯ぎしり

    歯ぎしりは放っておいても大丈夫?

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP